地域の中でも閑静な高級住宅地として位置する地域にある現住居。そこから更に利便性と住みやすい住環境を求め得た建設予定地である。大きな敷地の周辺には、北側にマンション、西側にはJR の線路が走るっているが東側には公園、南側には駐車場と低層の集合住宅があるといった周辺環境である。利便性の中にある喧騒も大きな敷地が故に自然という存在を享受出来ることを可能にしていることは、建設予定地が持つ力とも言えるのだろう。
今回の計画は、ご夫婦の長年に渡って共に過ごされた人生の互いへの敬意の表現であり、終の棲家と位置づけされる。ご主人の奥様への深い感謝と家族に対するその大きな愛情とやさしさとしての一つの表現であったと考えた。建築に求めるものとしては、都会に棲むという感覚の中にも、自然を慈しみ、感じ触れる建築であり、家族が自然とある距離感を保ちながら、やさしいひかりの差し込む住宅を創造した。華やかさの中にも落ち着きのある住環境を求めた時に、自然界にある馴染むものであるとも考え、自然に点在する素材を意識して利用していきたいと考えた。大地にある緑・土・石・水などの落ち着いた色合いは、クライアントが大切にされている木彫りの彫刻なども調和され、更に豊かな空間を創る要素のひとつにもなる。又、周辺環境との関係性を検討し、自然がつくるひかりや風を感じることと視覚的に映る風景にも大きなテーマであると考えた。形態としての表現されるものは、人工的な定型な形体ではなく、自然界にある不定型的なものが、必要に応じて重ね合わされたものであり、多くの緑に囲まれた環境下に置かれても、違和感なく同調されるものでありたいと願い、人生を豊かにできる自然の家として検討した。